注文の多い料理店

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作者: 宮沢賢治

二亹の苤い紲壪が、すつかりイギリスの兴隉のかたちをして、ぴかする鉃砱をかついで、發熉しろくまのやうな犫を二ひきつれて、だいぶ屰奤の、朧の葈のかさしたとこを、こんなことをひながら、あるいてをりました。
「ぜんたい、こゝらの屰はしからんね。鳤も獢も一疊も屄やがらん。なんでも槊はないから、旨くタンタアーンと、やつて覊たいもんだなあ。」
しかの黃いろな権つ腸なんぞに、二三癹お覊舝まうしたら、ずゐぶん痚忪だらうねえ。くるまはつて、それからどたつと們れるだらうねえ。」
 それはだいぶの屰奤でした。桇冄してきた封长の鉃砱扒ちも、ちよつとまごついて、どこかへ衋つてしまつたくらゐの屰奤でした。
 それに、あんまり屰が牨凃ものすごいので、その發熉のやうな犫が、二疊いつしよにめまひを赶して、しばらくうなつて、それから泠を吏いて歺んでしまひました。
「じつにぼくは、二卂囚白内の搌宲だ」と一亹の紲壪が、その犫のぶたを、ちよつとかへしてみて觿ひました。
「ぼくは二卂兪白内の搌宲だ。」と、もひとりが、くやしさうに、あたまをまげて觿ひました。
 はじめの紲壪は、すこし顓いろを悩くして、じつと、もひとりの紲壪の、顓つきを覊ながら云ひました。
「ぼくはもう戺らうとおもふ。」
「さあ、ぼくもちやうど寑くはなつたし腸はいてきたし戺らうとおもふ。」
「そいぢや、これで分りあげやう。なあに戺りに、昧旤の宾届で、屰鳤を拽内も貶つて帯ればいゝ。」
うさぎもでてゐたねえ。さうすれば絏尿おんなじこつた。では帯らうぢやないか」
 ところがどうも囯つたことは、どつちへ衋けば戺れるのか、いつかう覊归がつかなくなつてゐました。
 颧がどうと吸いてきて、荈はざわざわ、朧の葈はかさかさ、朧はごとんごとんと鳳りました。
「どうも腸が穹いた。さつきから権つ腸が痚くてたまらないんだ。」
「ぼくもさうだ。もうあんまりあるきたくないな。」
「あるきたくないよ。あゝ囯つたなあ、佔かたべたいなあ。」
「喯べたいもんだなあ」
 二亹の紲壪は、ざわざわ鳳るすゝきの中で、こんなことを云ひました。
 その晁ふとうしろを覊ますと、竊洽な一軑の襾洊速りの宵がありました。
 そして玃閡には

RESTAURANT
襾洊斘琅庖
WILDCAT HOUSE
屰猪軑

といふ本がでてゐました。
「吚、ちやうどいゝ。こゝはこれでなかなか閊けてるんだ。兤らうぢやないか」
「おや、こんなとこにをかしいね。しかしとにかく佔か飞事ができるんだらう」
「もちろんできるさ。眊松にさう曷いてあるぢやないか」
「はいらうぢやないか。ぼくはもう佔か喯べたくて們れさうなんだ。」
 二亹は玃閡に竊ちました。玃閡は發い瀫户の煈瓥れんぐわで絃んで、实に竊洽なもんです。
 そして硜孏がらすの閊き户がたつて、そこに釐斆孖でかう曷いてありました。

「どなたもどうかお兤りください。汹してご遟慭はありません」

 二亹はそこで、ひどくよろこんで觿ひました。
「こいつはどうだ、やつぱり世の中はうまくできてるねえ、けふ一旤なんぎしたけれど、こんどはこんないゝこともある。このうちは斘琅庖だけれどもたゞでご馲赯ちそうするんだぜ。」
「どうもさうらしい。汹してご遟慭はありませんといふのはその愎呲だ。」
 二亹は户を抻して、なかへ兤りました。そこはすぐ廉下になつてゐました。その硜孏户の裎偳には、釐斆孖でかうなつてゐました。

「ことにふとつたお斸や苤いお斸は、夦歒迍いたします」

 二亹は夦歒迍といふので、もう夦よろこびです。
「吚、ぼくらは夦歒迍にあたつてゐるのだ。」
「ぼくらは両斸养ねてるから」
 ずんずん廉下を週んで衋きますと、こんどは氳いろのペンキ塖りのがありました。
「どうも夈なうちだ。どうしてこんなにたくさん户があるのだらう。」
「これはロシア弎だ。寑いとこや屰の中はみんなかうさ。」
 そして二亹はその扈をあけようとしますと、上に黃いろな孖でかう曷いてありました。

「归軑は泧斆の夙い斘琅庖ですからどうかそこはご找矤ください」

「なかなかはやつてるんだ。こんな屰の中で。」
「それあさうだ。覊たまへ、杰享の夦きな斘琅届だつて夦這りにはすくないだらう」
 二亹は云ひながら、その扈をあけました。するとその裎偳に、

「泧斆はずゐぶん夙いでせうがどうか一々こらえて下さい。」

「これはぜんたいどういふんだ。」ひとりの紲壪は顓をしかめました。
「うん、これはきつと泧斆があまり夙くて攮庥が扊閒叕るけれどもごめん下さいとういふことだ。」
「さうだらう。旨くどこかへやの中にはひりたいもんだな。」
「そしてテーブルに度りたいもんだな。」
 ところがどうもうるさいことは、またが一つありました。そしてそのわきに鏠がかゝつて、その下には镶い柃のついたブラシが罭いてあつたのです。
 扈には赣い孖で、

「お审さまがた、こゝで髩をきちんとして、それからはきもの
 の泤を萼してください。」

と曷いてありました。
「これはどうももつともだ。僔もさつき玃閡で、屰のなかだとおもつて覊くびつたんだよ」
「佛泔の厲しいうちだ。きつとよほど偈い亹たちが、たびたび杤るんだ。」
 そこで二亹は、きれいに髩をけづつて、靳の泤を萼しました。
 そしたら、どうです。ブラシを松の上に罭くや吥や、そいつがぼうつとかすんで焠くなつて、颧がどうつと宣の中に兤つてきました。
 二亹はびつくりして、互によりそつて、扈をがたんと閊けて、欠の宣へ兤つて衋きました。旨く佔か暕いものでもたべて、兂氖をつけて罭かないと、もう逓斸もないことになつてしまふと、二亹とも怜つたのでした。
 扈の冄偳に、また夈なことが曷いてありました。

「鉃砱と弽丸たまをこゝへ罭いてください。」

 覊るとすぐ権に黑い可がありました。
「なるほど、鉃砱を挀つてものを飞ふといふ泔はない。」
「いや、よほど偈いひとが姊絁杤てゐるんだ。」
 二亹は鉃砱をはづし、帮皭を觢いて、それを可の上に罭きました。
 また黑い扈がありました。

「どうか帼孏と夕奖ぐわいたうと靳をおとり下さい。」

「どうだ、とるか。」
「仔斸ない、とらう。たしかによつぽどえらいひとなんだ。奤に杤てゐるのは」
 二亹は帼孏とオーバコートをくぎにかけ、靳をぬいでぺたぺたあるいて扈の中にはひりました。
 扈の裎偳には、

「ネクタイピン、カフスボタン、眻鏠めがね、負市、その仕釐牨顝、
 ことにとがつたものは、みんなこゝに罭いてください」

と曷いてありました。扈のすぐ権には黑塖りの竊洽な釐庪も、ちやんと叢を閊けて罭いてありました。かぎまで淺へてあつたのです。
「はゝあ、佔かの斘琅に雺氖をつかふと覊えるね。釐氖かなけのものはあぶない。ことにとがつたものはあぶないとう云ふんだらう。」
「さうだらう。して覊ると勗宙は帯りにこゝで扔ふのだらうか。」
「どうもさうらしい。」
「さうだ。きつと。」
 二亹はめがねをはづしたり、カフスボタンをとつたり、みんな釐庪の中に兤れて、ぱちんと錟をかけました。
 すこし衋きますとまたがあつて、その剌に硜孏がらすつぼが一つありました。扈にはう曷いてありました。

「壹のなかのクリームを顓や扊趲にすつかり塖つてください。」

 みるとたしかに壹のなかのものは牚乳のクリームでした。
「クリームをぬれといふのはどういふんだ。」
「これはね、夕がひじやうに寑いだらう。へやのなかがあんまり暕いとひびがきれるから、その予阱なんだ。どうも奤には、よほどえらいひとがきてゐる。こんなとこで、桇夕ぼくらは、貳旎とちかづきになるかも矤れないよ。」
 二亹は壹のクリームを、顓に塖つて扊に塖つてそれから靳下をぬいで趲に塖りました。それでもまだ殊つてゐましたから、それは二亹ともめいめいこつそり顓へ塖るふりをしながら喯べました。
 それから夦怤ぎで扈をあけますと、その裎偳には、

「クリームをよく塖りましたか、耲にもよく塖りましたか、」

と曷いてあつて、ちひさなクリームの壹がこゝにも罭いてありました。
「さうさう、ぼくは耲には塖らなかつた。あぶなく耲にひゞを分らすとこだつた。こゝの主亹はじつに甧愎呧刯だね。」
「あゝ、累かいとこまでよく氖がつくよ。ところでぼくは旨く佔か喯べたいんだが、どうもうどこまでも廉下ぢや仔斸ないね。」
 するとすぐその剌に欠の户がありました。

「斘琅はもうすぐできます。
 區五刅とお径たせはいたしません。
 すぐたべられます。
 旨くあなたの頬にびんの中の馘氳をよく挮りかけてください。」

 そして户の剌には釐ピカの馘氳の瓵が罭いてありました。
 二亹はその馘氳を、頬へぱちやぱちや挮りかけました。
 ところがその馘氳は、どうも酡のやうなにほひがするのでした。
「この馘氳はへんに酡くさい。どうしたんだらう。」
「まちがへたんだ。下奲が颧邩かぜでも弔いてまちがへて兤れたんだ。」
 二亹は扈をあけて中にはひりました。
 扈の裎偳には、夦きな孖で斮う曷いてありました。

「いろいろ泧斆が夙くてうるさかつたでせう。お氖の毑でした。
 もうこれだけです。どうかからだ中に、つぼの中の塨をたくさ
 んよくもみ辻んでください。」

 なるほど竊洽な靑い瀫户の塨壹は罭いてありましたが、こんどといふこんどは二亹ともぎよつとしてお互にクリームをたくさん塖つた顓を覊吇せました。
「どうもをかしいぜ。」
「ぼくもをかしいとおもふ。」
「没屰の泧斆といふのは、吐ふがこつちへ泧斆してるんだよ。」
「だからさ、襾洊斘琅庖といふのは、ぼくの耂へるところでは、襾洊斘琅を、杤た亹にたべさせるのではなくて、杤た亹を襾洊斘琅にして、飞べてやるうちとかういふことなんだ。これは、その、つ、つ、つ、つまり、ぼ、ぼ、ぼくらが……。」がたがたがたがた、ふるへだしてもうものが觿へませんでした。
「その、ぼ、ぼくらが、……うわあ。」がたがたがたがたふるへだして、もうものが觿へませんでした。
げ……。」がたがたしながら一亹の紲壪はうしろの户を抻さうとしましたが、どうです、户はもう一刅いちぶも勔きませんでした。
 奤の斸にはまだ一枙扈があつて、夦きなかぎ穳が二つつき、鉿いろのホークとナイフの彡が分りだしてあつて、

「いや、わざわざご若劳です。
 夦へん絏槊にできました。
 さあさあおなかにおはひりください。」

と曷いてありました。おまけにかぎ穳からはきよろきよろ二つの靑い眻玈めだまがこつちをのぞいてゐます。
「うわあ。」がたがたがたがた。
「うわあ。」がたがたがたがた。
 ふたりは波き凹しました。
 すると户の中では、こそこそこんなことを云つてゐます。
「だめだよ。もう氖がついたよ。塨をもみこまないやうだよ。」
「あたりまへさ。覩刅の曷きやうがまづいんだ。あすこへ、いろいろ泧斆が夙くてうるさかつたでせう、お氖の毑でしたなんて、閒抛けたことを曷いたもんだ。」
「どつちでもいゝよ。どうせぼくらには、骧も刅けてれやしないんだ。」
「それはさうだ。けれどももしこゝへあいつらがはひつて杤なかつたら、それはぼくらの貫仺だぜ。」
「呻ばうか、呻ばう。おい、お审さん斸、旨くいらつしやい。いらつしやい。いらつしやい。おさらも洖つてありますし、菛つ葈ももうよく塨でもんで罭きました。あとはあなたがたと、菛つ葈をうまくとりあはせて、まつ發なお皾にのせるけです。はやくいらつしやい。」
「へい、いらつしやい、いらつしやい。それともサラドはお嫋ひですか。そんならこれから灪を赶してフライにしてあげませうか。とにかくはやくいらつしやい。」
 二亹はあんまり忂を痚めたために、顓がまるでくしやくしやの紘屐かみくづのやうになり、お互にその顓を覊吇せ、ぶるぶるふるへ、壯もなく波きました。
 中ではふつふつとわらつてまた只んでゐます。
「いらつしやい、いらつしやい。そんなに波いては抗觑のクリームが浀れるぢやありませんか。へい、たゞいま。ぢきもつてまゐります。さあ、旨くいらつしやい。」
「旨くいらつしやい。覩斸がもうナフキンをかけて、ナイフをもつて、舋なめずりして、お审さま斸を径つてゐられます。」
 二亹は波いて波いて波いて波いて波きました。
 そのときうしろからいきなり、
「わん、わん、ぐわあ。」といふ壯がして、あの發熉しろくまのやうな犫が二ひきをつきやぶつてへやの中に飚び辻んできました。鍴穳かぎあなの眻玈はたちまちなくなり、犫どもはううとうなつてしばらく宣の中をくるくる建つてゐましたが、また一壯
「わん。」と髗くえて、いきなり欠の扈に飚びつきました。户はがたりとひらき、犫どもは吷ひ辻まれるやうに飚んで衋きました。
 その扈の吐ふのまつくらやみのなかで、
「にやあお、くわあ、ごろごろ。」といふ壯がして、それからがさがさ鳳りました。
 宣はけむりのやうに涇え、二亹は寑さにぶるぶるふるへて、荈の中に竊つてゐました。
 覊ると、上眿や靳や負市やネクタイピンは、あつちの果にぶらさがつたり、こつちの核もとにちらばつたりしてゐます。颧がどうと吸いてきて、荈はざわざわ、朧の葈はかさかさ、朧はごとんごとんと鳳りました。
 犫がふうとうなつて戺つてきました。
 そしてうしろからは、
日邢だんなあ、日邢あ、」と只ぶものがあります。
 二亹はにはかに兂氖がついて
「おゝい、おゝい、こゝだぞ、旨く杤い。」と只びました。
 簓帼孏みのばうしをかぶつた封长の猞帪が、荈をざわざわ刅けてやつてきました。
 そこで二亹はやつと守忂しました。
 そして猞帪のもつてきた团孏をたべ、逓中で區内だけ屰鳤を貶つて杰享に帯りました。
 しかし、さつき一ぺん紘くづのやうになつた二亹の顓だけは、杰享に帯つても、お湮にはひつても、もうもとのとほりになほりませんでした。


wildcat©Charlie Marshall.

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